TAKAHASHI HIROKO for 遊 中川
ずいぶんと長い期間をかけて取り組んでいたプロジェクトがようやく完結。
そこから生まれたプロダクトの販売が始まりました。
そのプロジェクトとは、享保元年(1716)創業以来、手績み手織りの麻織物を扱い続けながら、近年では工芸をベースにしたもの作りをおこない、全国に直営店を展開している中川政七商店との取り組み。中川政七商店が展開する様々なブランドの中のひとつ「遊 中川」のテキスタイルデザインを手掛けました。
私は円と直線のみで図柄を作り上げる際、具体的なイメージやテーマを持つことはほとんどありません。私の柄が、どのような技法で、どのような素材に乗せられ、何のために、どのように使われるのかということにポイントを置きながら円と直線で描いていきます。
しかしながら、今回のプロジェクトでは、未来の日本に残るような新しい日本の柄を作りたいということでお声掛けをいただき、「正倉院」というテーマが与えられました。
奈良で創業された中川政七商店らしいテーマです。
通常の考え方とは異なり、具体的なテーマを元に柄を作り、その柄が様々な素材と技法で表現され、たくさんのアイテムへと変身していきます。
私にとっても新しい取り組みで、新鮮な気持ちを感じつつ正倉院や宝物、奈良の歴史について学びました。
その中から、正倉院の宝物をモチーフとした2柄と、鹿をモチーフとした1柄をデザイン。
1つ目は「Beads」。
正倉院宝珠の艶やかさからイメージを膨らませ、和にとどまらないオリエンタリズムを目指しました。
2つ目は「Lotus」。
宝物の中に見られる、飾り台や家具の有機的な意匠を正円の連なりで再構築しています。
3つ目は「Deer」。
奈良と言えば鹿。鹿は中川政七商店や遊 中川のマークにも使われています。
春から夏に向けて、古い角が落ちた後に生えてくる、丸みをおびた新しい角をモチーフにしました。
商品のデザインに関しては監修しておりませんが、私が手掛ける「HIROCOLEDGE」とはまた違った趣の、華やかなアイテムがたくさん誕生しました。
お取り扱いショップなどの情報や、商品のお問い合わせに関しましては、遊 中川のウェブサイトよりご確認ください。
http://www.yu-nakagawa.co.jp/top/#brand%3A遊%20中川