The First Anniversary
高橋理子押上スタジオが10月17日に一周年を迎えました。
小さかったオリーブの木も大きく育ち、3階のテラスでは果樹やハーブが溢れるほどに成長しました。
365日間、活動拠点としてここで過ごし、包容力のあるスタジオだと感じています。
私の気まぐれも全部受け止めてくれるスタジオです。
スタジオオープンまでに関わってくださった方々に心から感謝しています。
そして、いつもお立ち寄りくださる皆様、本当にありがとうございます。
The studio farm
新スタジオの構想段階から「食の背景に触れたい」という考えを持っていたので、
野菜を育てられる環境を作りたいという要望を建築家の長坂常さんに伝えた。
さまざまなもの作りをしてきて、その背景を常に意識していたにもかかわらず、
大好きな「食べる」という行為のずっとずっと最初の始まりの部分に目を向けるきっかけがなかった。
そのきっかけは2011年の震災。食に不安を感じた。多くの人がそうだったかもしれない。
初めての家庭菜園。
ずいぶんと暖かくなってきて、私が食べる前に、虫食いだらけ。
ここの環境に合う土は、野菜は、種は、とまだまだ試行錯誤の日々。
少しずつ触れ始めた、農業の奥深さと大変さ。裏事情と現状。そして未来。
何か大きなことができるとは思っていないけれど、知らないより、考えないよりずっといい。
そう思いながら、自分で作った野菜を自分で食べる。
高橋理子押上スタジオ
昨年の10月から、この新しいスタジオで活動を開始しました。
今までの中で、一番大きいもの作り。
設計は、建築家の長坂常さん。
このプロジェクトを通して、常さんから学んだこと。
「おおらか」
建築家の視点や思考に、間近で触れることができたことが、私にとって最大の収穫だったかもしれません。
TAKAHASHI HIROKO for 遊 中川
ずいぶんと長い期間をかけて取り組んでいたプロジェクトがようやく完結。
そこから生まれたプロダクトの販売が始まりました。
そのプロジェクトとは、享保元年(1716)創業以来、手績み手織りの麻織物を扱い続けながら、近年では工芸をベースにしたもの作りをおこない、全国に直営店を展開している中川政七商店との取り組み。中川政七商店が展開する様々なブランドの中のひとつ「遊 中川」のテキスタイルデザインを手掛けました。
私は円と直線のみで図柄を作り上げる際、具体的なイメージやテーマを持つことはほとんどありません。私の柄が、どのような技法で、どのような素材に乗せられ、何のために、どのように使われるのかということにポイントを置きながら円と直線で描いていきます。
しかしながら、今回のプロジェクトでは、未来の日本に残るような新しい日本の柄を作りたいということでお声掛けをいただき、「正倉院」というテーマが与えられました。
奈良で創業された中川政七商店らしいテーマです。
通常の考え方とは異なり、具体的なテーマを元に柄を作り、その柄が様々な素材と技法で表現され、たくさんのアイテムへと変身していきます。
私にとっても新しい取り組みで、新鮮な気持ちを感じつつ正倉院や宝物、奈良の歴史について学びました。
その中から、正倉院の宝物をモチーフとした2柄と、鹿をモチーフとした1柄をデザイン。
1つ目は「Beads」。
正倉院宝珠の艶やかさからイメージを膨らませ、和にとどまらないオリエンタリズムを目指しました。
2つ目は「Lotus」。
宝物の中に見られる、飾り台や家具の有機的な意匠を正円の連なりで再構築しています。
3つ目は「Deer」。
奈良と言えば鹿。鹿は中川政七商店や遊 中川のマークにも使われています。
春から夏に向けて、古い角が落ちた後に生えてくる、丸みをおびた新しい角をモチーフにしました。
商品のデザインに関しては監修しておりませんが、私が手掛ける「HIROCOLEDGE」とはまた違った趣の、華やかなアイテムがたくさん誕生しました。
お取り扱いショップなどの情報や、商品のお問い合わせに関しましては、遊 中川のウェブサイトよりご確認ください。
http://www.yu-nakagawa.co.jp/top/#brand%3A遊%20中川
TAKAHASHI HIROKO for ISETAN -Mounumental-
明日3月5日より、伊勢丹新宿店本館4階=ジュエリー&ウォッチにて、私が手掛けた伊勢丹オリジナルブライダルリング「TAKAHASHI HIROKO for ISETAN -Mounumental-」の常設販売が始まります。
初めてジュエリーを手掛けるということもあり、ダイヤモンドの流通や、ブライダルリングの歴史を調べているうちに出会ったのが、50年以上前のエンゲージリングの原型でした。
ダイヤモンドのエンゲージリングが日本で定着したのは1960年代と言われています。
それより以前の1950年代は、ダイヤモンドが今以上に大変高価なものでした。
ちょうど1ドルが360円の時代。大きなダイヤモンドを手にすることができる人は多くなかったのだと思います。
たとえ小さくても美しく輝くダイヤモンドリングを贈りたい、身につけたいという思いを叶えるセッティングが生まれたのもこの頃。
反射板のようなデザインでダイヤモンドに光を集め、大きな爪で留めるセッティングは、現在の流行ではありません。
しかしながら、光を多く取り入れることでより強く大きく輝くようにと、ダイヤモンドを高く持ち上げたそのスタイルは、高度経済成長期の日本のポジティブな姿を現しているかのようで、私にはとても印象深く新鮮に映りました。
梅の花や牡丹など、日本の花をモチーフにしたデザインもあり、当時のエンゲージリングはとても日本的かつ独創的なスタイルだったのです。
先人が残してくれたものの良い部分、今の時代に必要な部分を見極め、引き継ぐこと。
それは、結婚という節目に(本当はいつでも!)自分自身の存在に向き合い湧き起こる、両親や祖先への感謝の気持ちに似ていると感じたのです。
職人の手により丁寧に作られた当時の原型は、どこかぬくもりがあり、金属でありながら冷たさを感じません。道具の機械化が進み、今ではこのようなスタイルの原型を同じように作れる人は数少ないと聞きました。また、大きく特殊な爪にダイヤモンドを留める石留め職人も貴重な存在だそうです。
これからの長い時間を共に歩むブライダルリングだからこそ、自分だけではない他者のぬくもりを感じるものであってほしい。人は皆、誰かに支えられて生きているということを忘れず、いつも誰からも長く愛される人であるべきなのです。
そして、私が生み出すブライダルリングの存在が、その人自身を引き立てるものであってほしいと考えました。
物の本質を浮き彫りにするためには、対極にあるものや相対的に見ることができる存在が必要です。花やリボンやハートモチーフのように、それ自体女性らしいものが、必ずしも女性らしさを引き出すとは限りません。時にメンズライクな帽子やシューズが、女性らしさを出すこともあるのです。
今回のリングは、50年前の原型にインスパイアされたセッティングに、女性の優しさや柔らかさを引き立てる対極のものとして、鋭さをや強さ感じるモチーフであるスタッズを組み合わせました。
一見異質な表現が組み合わされたこの “Monumental ”シリーズは、未来を切り開く力強さを持ちながら、時を超えて愛される女性像をイメージしています。
ブライダルに限らず、大切な時を共に過ごすジュエリーのひとつとして、お選びいただければ嬉しいです。
African Print Fabric
8年前に少しだけ住んでいたパリでは、アフリカンプリントの生地を大胆にまとった女性たちをよく見かけました。
あまりにも素敵で、 当時アフリカンプリントの生地を手に入れるべく、パリ中を歩き回りました。
そして、いつも不思議に思っていたのが、生地にプリントしてあった「MADE IN ENGLAND」の文字。
アフリカンプリントは、もともとインドネシアのろうけつ染めをヨーロッパの人々が工業化&量産化し、植民地であるアフリカに輸出。
そして、今日においてはアフリカの日常着として定着したということことを、ずいぶん後に知りました。
ロンドンにも、もちろんアフリカンプリントの生地屋さんがあります。
眺めているだけでも楽しいのです。
そして、おまけ。
昔パリのマルシェで出合った女性。
携帯電話柄!
St. Stephen Walbrook
ロンドンには、いたる所に教会があります。
つややかな近代建築と、ざらっとした石肌の質感を持つ教会のコントラストが美しく、
それらがロンドンらしい街並を作り上げているように思います。
さて、先日見に行った「St. Stephen Walbrook」教会。
見所は、Grinling Gibbons(グリンリング・ギボンズ)のウッドカービング(木彫)と
中央に位置するHenry Moore(ヘンリー・ムーア)作の石の祭壇。
ドーム型の天井の真下に祭壇が据えられ、とても明るい教会でした。
ギボンズの作品は、ロンドンの多くの教会で見ることができます。
このウッドカービングが好きな私が、ヨーロッパの美術館でいちばん注目してみるところと言えば、額縁。
絵ではなく、それを囲む有機的な彫刻と金彩が施された額縁に目がいってしまいます。
日本とは明らかに違う様式美が自分の中に混ざり込んでくる感覚。
ぞわぞわっとして、ワクワクするのです。
East London
前回来た時にも、最近ヒップなエリアだから行った方がいいよと周りから言われていた「East London」へ行ってきた。
10歳くらい年下の女の子たちと行ったので、こちらの若者が好きなテイストのショップを知ることができて面白かった。
同じ世代の友人だったら、確実に夜。しかも、絶対にパブに行くと思うけど。
今日行ってみたら、なぜか知っているお店がいくつかあった。
数年前、友人につれられて、夜遊びしたのがEast Londonだったとは。
そして、日曜日のフラワーマーケットで思ったことは、わたしは、繊細で色鮮やかな「花」よりも、無骨な枝にパリっとツヤっとした葉がついた「木」を眺める方が好きなのだということ。
それで、いちばん欲しいと思ったのはレモンの木。
育てるなら食べられるものがいい。
Self‐cooking
最近の出張は、自炊ができるので嬉しい。
日本でも、外食はほとんどしません。
写真は、野菜8割のパスタ。健康的。
そして、友人に「美味しいよ」と薦められるがままに買ったパスタはグルテンフリー。
米粉とトウモロコシ粉でできている。
すごく美味しいかというと、ちょっと風味が足りない気もするけれど。
何となく、体にいいものを食べている気がするので、しばらくはこれを食べます。
野菜は、上にたくさん乗っている、ワイルドロケットのように風味のある葉物が好き。 日本よりも手軽に手に入るので、毎日食べたい。
私は同じものを毎日食べてもあまり飽きないらしい。
子供の頃も、気に入ると同じ本を何度も読んだ。
映画も同じ。気に入ると、DVDをリピート再生。
それと、料理をしていて忘れ物に気が付いた。
箸。
ズッキーニを裏返したり、パスタを1本取り出したり。
本当に便利な道具。
次回は菜箸を持ってくることを忘れないようにしなければ。